お盆には「迎え火」と「送り火」を行うことで知られていますが、これらの意味や正しい実施方法は意外と知られていないかもしれません。迎え火はお盆の初日に、ご先祖様の霊を迎え入れるために行われ、送り火はお盆の最終日に霊を送り返すための火をたく儀式です。この記事では、迎え火と送り火の意味深い背景と、具体的な行う時期や方法について解説します。
迎え火と送り火の意味って?
お盆の期間中、ご先祖様の霊を迎え入れるための「迎え火」と、彼らをまたあの世へ送り出す「送り火」が行われます。これらはお盆の際に不可欠な儀式のひとつで、迎え火はご先祖様がこの世に戻るための目印として、送り火はその霊が再びあの世に戻る際の道しるべとして用いられます。
迎え火はお盆が始まる初日に、送り火はお盆が終わる最終日に行われることが多いですね。この素敵な伝統を通じて、私たちはご先祖様に敬意を表し、家族が一緒に過ごした貴重な時間を締めくくります。
お盆って何?
お盆って聞いたことありますか?これは、元々は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」という仏教の言葉からきているんです。日本の古い祖霊信仰と仏教の教えが合わさってできた行事で、ご先祖様を祀って感謝する期間として知られています。
一般的には、7月15日や8月15日を中心に行われることが多いですね。具体的には、7月13日から16日か、8月13日から16日の間で祝われます。この期間、家族が集まって、ご先祖様を迎え、また送り出します。
7月がお盆の地域
2024年のお盆は、7月13日から16日までです。この4日間は、ご先祖様が一時的にこの世に戻ってくるとされています。
- 7月13日:お盆の入りで、ご先祖様を迎えます。
- 7月14日と15日:ご先祖様が家に滞在する日、これを「中日」と言います。
- 7月16日:お盆の明けで、ご先祖様を送り出します。
8月がお盆の地域
また、8月にお盆を迎える地域もあります。2024年は8月13日から16日がその期間です。
- 8月13日:お盆の入り、ここでご先祖様を迎えます。
- 8月14日と15日:中日で、ご先祖様が家に滞在。
- 8月16日:お盆の明けで、ご先祖様を送り出します。
お盆の時期は、地域によって異なることがあるので、自分の住んでいる地域や家族の慣習に合わせて準備しましょう。
2024年の迎え火・送り火、いつやる?
お盆に行われる迎え火と送り火、2024年の予定はもうチェックしましたか?地域によって7月か8月のどちらかで行われるんです。では、それぞれの日程を見てみましょう。
7月がお盆の地域
- 迎え火は7月13日(土)の夕方。
- 送り火は7月16日(火)の夕方です。
8月がお盆の地域
- 迎え火は8月13日(火)の夕方。
- 送り火は8月16日(金)の夕方に行います。
ちなみに、迎え火や送り火の具体的な時間は家庭や地域によって様々。だいたい夕方に行うのが普通ですが、日が暮れた後に行う家もあります。もし家族が日中忙しい場合は、みんなが揃える時間に合わせるといいですね。
また、お盆が始まる前日の12日に迎え火を行う家庭もありますし、お盆が終わる前の15日に送り火を行う場合もあります。この辺は、ご家庭や地域の慣習に合わせて調整してくださいね。
迎え火と送り火には、「オガラ」という燃やす木と、「焙烙(ほうろく)」という素焼きの皿が必要です。これらは仏具店で手に入ることが多いですが、ろうそくやストローなど、他の燃えるものでも代用可能です。
昔はお墓で行うことが一般的でしたが、今は自宅の玄関先で行うことが多くなっています。火を使うので、安全を考えて外で行う家が多いですよ。
迎え火と送り火の手順、どうやるの?
お盆の迎え火と送り火、意外と知らない人も多いかもしれませんね。こちら、実際のやり方を簡単に説明していきます。
迎え火と送り火の基本ステップ
設置場所の準備
玄関先に焙烙(ほうろく)を置きます。焙烙は、燃える物を載せるための素焼きのお皿です。
オガラの準備
オガラ(燃えるための木の部材)を焙烙の上に載せます。長さが焙烙をはみ出す場合は、適当に折って調整し、山形や井の字型に組むと良いです。そうすることで空気が流れ、火が良く燃えます。
火をつける
オガラに火をつけ、燃え上がるのを待ちます。この時、玄関の外を向いて黙祷(もくとう)を捧げると良いですね。ご先祖様に向けた心のこもった祈りを。
火の処理
火が落ち着いたら、しっかりと消火します。方法は自由で、オガラが燃え尽きるのを待つも良し、水をかけて消すも良し。どちらにしても、最後は必ず火が完全に消えていることを確認してください。
後処理
灰や燃えカスは、庭に埋めるか、地域のルールに従って処分します。
マンションでも大丈夫!
集合住宅で火を使うのが難しい場合、盆提灯を灯すことで迎え火・送り火の役割を果たすことができます。提灯を玄関に吊るすだけで、ご先祖様を迎え送りする儀式になります。
ちょっとした準備で、ご先祖様をしっかりお迎えし、安心して送り出すことができますよ。お盆の期間、ぜひ試してみてくださいね!
都市伝説?いや、本当の話。火をまたぐ理由
都市部の一部では、お盆の「迎え火」と「送り火」をまたぐ風習が残っています。これには、ただの風習以上の意味があるんです。厄除けや病気予防といった効果があるとされていますから、単なる習わしと捉えるだけではないんですね。
迎え火をまたぐプロセス
迎え火をまたぐときは、玄関の外から内へと進む方向で行います。これには、ご先祖様を自宅に迎え入れるという意味が込められています。
- 玄関の外からスタートして、内側に向かって1回目のまたぎを行います。
- 一度元の位置に戻ります。
- 2回目のまたぎを同じ方向で行います。
- 再び元の位置に戻ります。
- 最後に3回目のまたぎを行い、迎え火の儀式を完了します。
送り火をまたぐプロセス
送り火では逆の動作を行います。内から外へと進むことで、ご先祖様をあの世へ送り出す意味があります。
- 玄関の内側から始めて、外へ向かって1回目のまたぎを行います。
- 元の位置に戻ります。
- 2回目のまたぎを行います。
- また元の位置に戻ります。
- 最後に3回目のまたぎを行い、送り火の儀式を完了します。
迎え火も送り火も基本は3回のまたぎが通例ですが、地域や家庭によっては1回で済ませるところもあります。さらに、またぐ時に特定のお経を唱えるなど、その家庭独自のルールを加える場合もあるようです。
まさに、火をまたぐ行動一つ取っても、その背景には深い文化的意味があるわけです。次にこの風習に触れる機会があったら、その意味を思い出してみてください。
“Mukae-bi” and “Okuri-bi”: How to Say It in English?
迎え火と送り火、この美しい日本の伝統は英語ではなかなか説明が難しいんですが、こう呼ぶことが多いですよ。
- “Mukae-bi” (迎え火)
- “Okuri-bi” (送り火)
直訳すると、”welcome fire” と “farewell fire” となります。これ、単語だけじゃ何のことかピンと来ないですよね。だから、もう少し詳しく説明を加えるといいかもしれません。
■ “Mukae-bi” is a fire lit to welcome the spirits of ancestors at the beginning of Obon.
(迎え火は、お盆の始まりにご先祖様の霊を迎えるために灯される火です)
■ “Okuri-bi” is a fire lit to send off the ancestors’ spirits back to the spirit world at the end of Obon.
(送り火は、お盆の終わりにご先祖様の霊をあの世へ送り出すために灯される火です)
これらの説明を加えることで、迎え火と送り火の深い意味が伝わりやすくなりますね。
お盆の締めくくりとして
お盆は、年に一度、ご先祖様の霊が家族のもとへ帰ってくる特別な期間ですね。この時期には、迎え火と送り火を用いて、ご先祖様が迷わずに帰ってこれるようにし、また安全にあの世へ戻れるようにサポートします。
ただ、火を使う行事なので、安全には特に気をつけたいものです。特に初めて迎え火や送り火を行う場合は、その地域の習慣や正しい方法を地域の人や親戚から教えてもらうと良いでしょう。それぞれの家庭や地域によって微妙な違いがあるから、事前にしっかりと確認しておくと安心です。
お盆の終わりに、迎え火と送り火を丁寧に行うことで、ご先祖様もきっと喜んでくれるはず。家族が一堂に会して、故人を偲ぶ時間を大切にしましょう。