けん玉、これは多くの日本人が幼少期に一度は手にしたことがあるであろう遊び道具です。多くの人がこの伝統的な遊びを日本発祥だと思い込んでいますが、そのルーツは海を越えた遠い地域にあります。今回は、けん玉の意外な起源から現代に至る発展、さらにはけん玉検定についても触れていきたいと思います。
けん玉の魅力とその起源
けん玉は、シンプルでありながら奥が深い、伝統的な日本のおもちゃです。この玩具は、十字型の「剣(けん)」と、一つまたは複数の穴が開いた「玉」が糸でつながれて構成されています。その一見シンプルな構造には、さまざまな技を駆使して玩ぶ醍醐味が詰まっています。
けん玉の構造と基本技
けん玉の主な部分は、「大皿」「中皿」「小皿」「けん先」と「皿胴」で、これらを使って様々な技に挑戦します。漢字で「剣玉」「拳玉」「剣球」とも表記されるけん玉は、それぞれの技を極めることがプレイヤーの目標となります。
けん玉の起源
けん玉の起源は一つではなく、中国やメキシコ、さらにはアフリカにそのルーツを見る説もありますが、フランスの「ビル・ボケ」というおもちゃが直接の先祖であるとされています。この「ビル・ボケ」は、けん玉と非常に似た構造を持ち、「ビル」(玉)と「ボケ」(小さな木)を組み合わせたものです。記録によると、この遊びが16世紀のフランスで流行し、国王アンリ3世も楽しんでいたとされます。
けん玉は単なる子供のおもちゃではなく、その歴史と文化的背景を知ることで、さらにその魅力を深く理解することができるでしょう。
けん玉の進化と現代への影響
けん玉は、ただの子どもの遊びという枠を超えて、長い歴史を持つ日本の伝統的なスポーツです。その起源や歴史、そして現代社会での役割について詳しく掘り下げてみましょう。
けん玉の歴史的背景
けん玉が日本に伝わったのは江戸時代とされていますが、その具体的な始まりは1809年に遡ります。この年、文献「拳会角力図会」で初めてけん玉の遊び方が記載され、「七玉拳」として紹介されました。
この頃のけん玉は、今日見る形とは異なり、棒の上下に皿が付いた形でした。また、1830年には随筆「嬉遊笑覧」で「けんだま」として登場し、ここから人々の間で広まっていきました。
けん玉の発展と文化的意義
明治時代に入ると、けん玉は子どもたちの間で一般的な遊びとして認識されるようになります。特に大正時代には、「日月ボール」として現代のけん玉に近い形が広島で生まれ、この新しい形は子どもたちにすぐに受け入れられました。
さらに、昭和時代に入ると、日本けん玉協会が設立され、けん玉はスポーツ競技としても位置付けられるようになりました。これにより、けん玉はただの遊びから、技術や熟練を競う文化活動へと進化しました。
けん玉と現代社会
現代においても、けん玉は多くの人々に愛され続けています。特に山形県長井市では、けん玉を市技と定め、地域活動や文化の振興に活用しています。
これは、けん玉が持つ教育的な価値や、地域コミュニティとの結びつきを強化する一例です。また、けん玉は国際交流のツールとしても機能しており、世界各国でけん玉大会が開催されるなど、その魅力が国境を越えて広がっています。
けん玉は、単なる遊び道具を超えて、教育や文化、地域活動に貢献する多様な可能性を持つ伝統的なスポーツです。その歴史と発展を振り返ることで、けん玉の持つ価値を再認識することができるでしょう。
けん玉マスターへの第一歩
けん玉は、ぱっと見た目以上に奥が深い伝統的な日本の遊びです。基本的な持ち方からコツまで、一緒に見ていきましょう。
基本の持ち方
けん玉の基本は、どう持つかからスタートします。以下の4つの持ち方をマスターすることで、けん玉の世界が広がります。
大皿持ち
親指と人差し指でけんの柄をつまみ、中指と薬指で小皿を支えます。この持ち方では、大皿が上向きになります。
玉持ち
玉の穴が上向くように持ちます。これが最も基本的な持ち方です。
けん持ち
けんの皿胴の下を握り、けん先が上を向くように持ちます。
ろうそく持ち
けん先が下になるようにして、けん先をつまむように持ちます。この持ち方はバランスを取る技に便利です。
けん玉のコツ
けん玉が上達するためのポイントはいくつかありますが、以下が特に重要です。
糸の長さの調整
糸の長さは個人の好みもありますが、一般的には38㎝から40㎝が扱いやすい長さとされています。
膝の使い方
けん玉は手だけでなく、体全体を使う技です。特に膝を活用することで、技の成功率が高まります。膝を柔らかく使い、着地の衝撃を和らげましょう。
基本から始める
難しい技に挑戦するのも楽しいですが、まずは基本的な技からコツコツとマスターすることが重要です。小皿や大皿に玉を乗せる「お皿」から始めて、徐々にステップアップしていきましょう。
けん玉は簡単そうに見えても、実は深い集中力と練習が必要です。基本をしっかりと身につけて、徐々に自分だけのスタイルを築いていくのが成功の秘訣です。
けん玉検定の技、レベル別ガイド!
けん玉検定は、けん玉の腕前を正式に認定する一大イベント。日本けん玉協会が主催するこの検定で使われる技を、易しいものから難しいものまでピックアップして解説します。それぞれの技には10回のチャレンジ機会が与えられます(「もしかめ」を除く)。
けん玉検定の技一覧:初心者から上級者まで
けん玉の世界には、その腕前を試す検定が存在し、日本けん玉協会がその級位を認定しています。今回は、その検定で求められる技を簡単なものから難しいものまでピックアップして紹介します。それぞれの技には10回のチャレンジ機会が与えられます(「もしかめ」は例外)。さぁ、挑戦してみましょう!
10級
大皿1回: けん玉の基本中の基本。けんを持ち、玉をまっすぐに引き上げて大皿に乗せる技です。
9級
大皿2回、小皿1回: まずは大皿で2回成功させた後、小皿での挑戦です。小皿も基本の技で、けんを持ち、玉を上に引き上げて小皿に乗せます。
8級
大皿3回、小皿2回、中皿1回: 大皿で3回、小皿で2回成功した後に中皿にチャレンジ。中皿も玉をまっすぐ上に引き上げて乗せる基本の一つです。
7級
小皿3回、中皿2回、ろうそく1回: 小皿での成功を3回、中皿を2回クリアした後、ろうそくへ。ろうそくはけん先で玉をまっすぐ引き上げて中皿に乗せる技。
ろうそく:けん玉の先端、けん先をしっかりと持ってから、玉を上にサッと引き上げて、けん玉の中皿にそっと置く
6級
中皿3回、ろうそく2回、とめけん1回、もしかめ6回: 中皿とろうそくをクリア後、とめけんに挑戦。成功後、もしかめで技術を披露。
とめけん: けん先を上にして持ち、玉をまっすぐ引き上げてけん先に挿す技。
もしかめ:けん玉の大皿と中皿を使って、玉をリズミカルに交互に乗せていく技
5級
ろうそく3回、とめけん2回、飛行機1回、もしかめ10回: 最初は「ろうそく」からスタートし、「とめけん」をクリアした後、「飛行機」へ。最後に「もしかめ」で締めます。
- 飛行機: けんを振り上げ、半回転させた後、けん先で玉をキャッチします。動きが大きいので、振り幅をしっかりとることがポイントです。
4級
とめけん3回、飛行機2回、ふりけん1回、もしかめ20回: ここでも「とめけん」から始まり、「飛行機」を経て、「ふりけん」へ。技の連続性が求められます。
- ふりけんとは: けんを半回転させて、玉の穴にけん先を入れる技です。精密さが求められる高度な技です。
3級
飛行機3回、ふりけん2回、日本一周1回、もしかめ30回: 技の正確さがさらに求められる段階で、特に「日本一周」が新たな挑戦。
- 日本一周: 大皿、小皿、とめけんを連続して成功させる複合技です。順序と流れを覚えることがカギ。
2級
ふりけん3回、日本一周2回、世界一周1回、もしかめ40回: 「日本一周」をマスターしたら「世界一周」へ。
- 世界一周とは: 小皿、中皿、大皿、とめけんを連続で行う、さらに複雑な連続技です。
1級
日本一周3回、世界一周2回、灯台1回、もしかめ50回: ここまで来たらけん玉の達人レベル。全ての基本技を完璧にこなし、最後に「灯台」で締めくくります。
- 灯台: 玉を持ってけんを引き上げ、中皿を玉の上に乗せてバランスを取りながら立てる高度な技です
けん玉検定はただの遊びではなく、集中力や協調性、技術の向上を図る絶好のチャンスです。検定を通じて、一つ一つの技に挑戦し、自分のけん玉スキルを磨き上げましょう。それぞれの技の習得は、けん玉の楽しみを深めるだけでなく、日常生活における様々なスキルにも役立つはずです。
けん玉は英語でどういう?
けん玉、それは英語で「Kendama」と言います。日本発祥のこの遊びは、そのままの名前で世界中に知られているんですね。
けん玉、世界でのブームの火付け役
けん玉が世界中でブームに火が付いたのは、ちょっとした偶然から。
外国人のプロスキーヤーが日本を訪れた際にけん玉で遊ぶ様子を撮影し、動画をインターネット上にアップしたことから始まりました。
この動画がアメリカで大注目を浴びることになり、2007年頃からけん玉人気が広まり始めました。
その影響で、アメリカには「KENDAMA USA」というけん玉ブランドが誕生し、専門のプロプレイヤーやプロチームまで登場。今やけん玉は、世界各地で開催される大会でフリースタイルの技を競い合ったり、定められた技をこなす競技としても、盛り上がりを見せています。
けん玉の意外な健康効果をチェック!
けん玉ってただの遊びじゃないんです。ちょっとした健康効果もあるんだから驚きですよね!今日はけん玉がもたらす健康へのプラス面をご紹介します。
姿勢改善に一役
けん玉は全身を使うアクティビティ。特にバランスを取りながら技を決める必要があるので、無意識のうちに体幹を鍛えることができます。この結果、日常生活での姿勢が自然と改善されるんです。
意外なダイエット効果
全身を動かすけん玉は、思った以上にカロリーを消費します。続けることで、体が温まり脂肪燃焼を助ける有酸素運動の役割も果たします。毎日コツコツと続ければ、体形維持にも役立つかもしれませんね。
集中力アップ
けん玉で技を成功させるには、ひとつひとつの動きに集中する必要があります。この「一点集中」がトレーニングになり、日々の生活や仕事においても集中力が向上する効果が期待できます。
認知症予防に一助
けん玉は手先を巧みに使うことで脳を刺激します。特に新しい技に挑戦することは、脳の思考や記憶を司る部分を活発にし、認知症の予防にもつながるとされています。毎日少しずつでもけん玉をすることで、脳の若さを保つ手助けになりそうです。
けん玉、ただの子供のおもちゃと思っていた方も、これを機に挑戦してみてはいかがでしょうか? 体と脳、どちらにもいいことづくめですよ!
さいごに
インターネットの力ってすごいですよね。世界中の人たちが自分のけん玉スキルを披露し合って、言葉の壁を感じさせない瞬間がたくさんあります。けん玉は、日本発祥の遊びとして世界に知られ、外国人観光客の間でも人気のお土産になっています。
実際、海外でも「kendama」という日本語がそのまま使われているのを聞くと、なんだか誇らしい気持ちになりますね。日本が世界に誇る文化の一つとして、これからもけん玉がもっと広がっていくことを期待しています!